データで振り返る ITパスポート令和3年度レポート

ITパスポート試験の年間動向(令和3年度)

令和3年は過去最多の21万人を突破!
合格率の低下は駆け込み受験の影響も?

2009年に春期・秋期実施のペーパー試験として開始したITパスポート試験。開始されたばかりであるのにも関わらず、当時は年間10万人以上が応募していました。

ところが、2011年に現在のCBT方式に移行した際に、ガクンと応募者数を落とします。「いつでも受けられる」というCBT方式のメリットが、「いつまでも受けない」というふうに作用してしまったんですね。また、当初は個人でしか申し込めず、団体利用に対応できていなかったという事情もありました。

しかし、2017年以降は右肩上がりで増え続け、ついに令和3年度(2021年度)の応募者は過去最多の244,254人となりました。ペーパー試験時代の応募者数を越えるどころか、一気に倍増したことになります。

また、ITパスポートの合格率については、近年50〜60%程度に落ち着いています。徐々に合格率は上がり、令和2年度(2020年度)には58.8%と過去最高の合格率となりましたが、令和3年度(2021年度)には52.7%とやや低下。全体的に低かったこともありますが、受験料が値上がりする前の駆け込み受験が多かった3月は47.5%と50%を切っており、「とりあえず受けてみる」という人が多かったことが伺えます。

ただし、令和4年度(2022年度)の4〜5月平均は60.0%となっており、年間合格率平均は例年並みの50%台後半と予測されます。

令和3年は非IT社会人の受験が2倍以上に!
「あらゆる社会人に必要な資格」として浸透

令和3年度のITパスポート試験の所属別応募者は、社会人が174,791人(IT系:36,177人、非IT系:126,416人、その他:12,198人)で全体の約71%、学生が69,463人(大学院・大学・短大:41,633人、高専・専門学校:12,063人、高校:14,504人、中・小・その他:1,263人)で約29%となっています。

いずれも昨年度比で120%以上増加していますが、特に非IT系は前年度比212.2%と大幅に増加しており、様々な業界で働く人が受験していることが伺えます。また、大学院・大学・短大も昨年度の28,392人から146.6%も増加しています。

ITパスポート試験の内容が、IT関連の会社・職種だけでなく、あらゆる社会人に必要な知識や情報として認知されており、社会人だけでなく学生にも人気が広がっていることが伺えます。

ITパスポート試験の合格・不合格の状況

非IT系社会人のほうが合格率は高め
IT系社会人は勉強しないで受ける傾向あり?

合格率については、社会人と学生、所属別で大きく差があります。令和3年度について、社会人の合格率は57.3%ですが、所属別で見ると非IT系が58.4%、IT系が52.9%と、意外にも非IT系のほうが高くなっています。

ITパスポートは「あらゆる社会人に必要な知識が得られる」として認知されるようになったために、近年の傾向として、非IT系のほうが業務の一環として取得へのプレッシャーがかかっている可能性があります。そして、概して非IT系は文系出身者が多く、暗記が得意で、真面目にしっかりと試験勉強に取り組むという個人的な特性もあるかもしれません。

一方、IT系の方は、基本情報技術者試験や専門の資格試験などへの関心が高く、初心者向けとされるITパスポートを若干軽く捉えている可能性があります。しかし、ITパスポート試験は情報技術の基礎とはいえ、広い分野から出題されます。出題分野のうち「ストラテジ系」「マネジメント系」には、むしろIT系よりも非IT系のほうになじみがある内容も多く含まれています。それにも関わらず、「ITの基礎だし」「実務経験がある」と勉強せずに試験を受けてしまえば、不合格も必然といえるでしょう。

いずれにしても、IT系・非IT系、実務経験のあるなしに関わらず、過去問題集や参考書などで一定レベル以上勉強することで、ITパスポート試験の範囲は十分にカバーできると思われます。

学生の合格率は社会人よりもやや低め
「勉強慣れ」を武器に、ちゃんと勉強して合格しよう!

「これからの社会人に必須の知識」とされていることもあって、近年は“未来の社会人”である学生の受験も急増しています。ただし、合格率は41.2%と、社会人平均の57.3%に比べるとやや低め。社会人としての実務経験がないことが原因と思われますが、細かく見てみると、大学生では51.5%、大学院生では68.5%と実は決して低くはありません。社会人よりも用語などには不慣れとしても、勉強にはむしろ慣れているはず。参考書や過去問題集でしっかり勉強すれば、手堅く合格できるでしょう。

「あとちょっとで合格」が12000人も
弱点を強化し、2度目での合格を目指そう!

ITパスポートの合格点は、600点以上/1,000点(総合評価)で、令和元年7月〜令和2年6月までのデータによると、受験者の評価点の分布は下の図のようになっています。総合評価点だけで見ても、50点程度足りないだけで不合格になった人が12,000人以上もいたことがわかります。なお、受験料が値上がりする前の駆け込み受験のあった令和3年2〜3月が入る期間では、さらに「惜しい人」が増える可能性があります。

50点といえば、数問程度。過去問題を解いて用語を覚えれば、決してとれない点数ではありません。初めて受ける人はできるだけ全範囲を網羅的に勉強し、しっかり準備して試験を受けるようにしましょう。また、不合格でも「弱い部分」を強化するつもりで勉強すれば、2回めでの合格が期待できます。

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