世の中、猫も杓子もChatGPT…(2回目)。以前の記事ではITパスポート試験自体の勉強方法についてChatGPTに聞いてみましたが、今回はChatGPTにITパスポートの公開問題を解いてもらおうと思います。使い方は簡単です。問題文をそのままChatGPTのプロンプトにコピペするだけです!
なお、使用したのは無料版のChatGPT 3.5です(有料版はかなり優秀と聞いておりますので、まったく違う結果が出るかもしれません)。
質問①(令和5年公開問題、問5)
企業でのRPAの活用方法として,最も適切なものはどれか。
ア M&Aといった経営層が行う重要な戦略の採択
イ 個人の嗜好に合わせたサービスの提供
ウ 潜在顧客層に関する大量の行動データからの規則性抽出
エ 定型的な事務処理の効率化
ChatGPTの回答①
最も適切な選択肢はエです。定型的な事務処理の効率化は、RPA(Robotic Process Automation)の主要な活用方法の一つです。RPAは、ソフトウェアロボットを用いてルーチン業務や繰り返し作業を自動化する技術であり、デジタル化されたプロセスの効率化や人的エラーの削減に役立ちます。企業はRPAを導入することで、例えば請求書処理やデータ入力などの煩雑な作業を自動化し、人員の負担軽減や生産性向上を図ることができます。 一方、M&Aの戦略採択や個人の嗜好に合わせたサービス提供、潜在顧客層へのデータ分析は、RPAよりも他の技術や手法がより適している場合があります。それぞれの目的に応じて、適切な技術や手法を選択することが重要です。
こういうシンプルな問題についてはほぼ完璧です。外れ選択肢についてのフォローまでしてみせる余裕があります。ということで、次は文章が入り組んでいるパターンの問題について解説してもらいましょう。
質問②(令和5年公開問題、問34)
記述a~cのうち,“人間中心のAI社会原則”において,AIが社会に受け入れられ,適正に利用されるために,社会が留意すべき事項として記されているものだけを全て挙げたものはどれか。
a AIの利用に当たっては,人が利用方法を判断し決定するのではなく,AIが自律的に判断し決定できるように,AIそのものを高度化しなくてはならない。
b AIの利用は,憲法及び国際的な規範の保障する基本的人権を侵すものであってはならない。
c AIを早期に普及させるために,まず高度な情報リテラシーを保有する者に向けたシステムを実現し,その後,情報弱者もAIの恩恵を享受できるシステムを実現するよう,段階的に発展させていかなくてはならない。
ア a,b
イ a,b,c
ウ b
エ b,c
ChatGPTの回答②
人間中心のAI社会原則において、AIが社会に受け入れられ、適正に利用されるために社会が留意すべき事項として記されているものは以下の選択肢です:
ア a,b
残念ながら誤答です(正解はウ)。解説の内容も問題文を復唱しているだけで、どうして「ア」を選択したのかという根拠などは示されませんでした。日本語の問題文をうまく解釈できなかったのかもしれませんね(もしかしたら、英語で質問すればうまく答えてくれたかもしれません)。
プログラミングの問題も解説してもらいましょう。
質問③(令和5年公開問題、問60)
手続printArrayは,配列integerArrayの要素を並べ替えて出力する。手続printArrayを呼び出したときの出力はア~エのどれか。ここで,配列の要素番号は1から始まる。
〔プログラム〕
printArray()
整数型: n, m
整数型の配列: integerArray←{2, 4, 1, 3}
for(nを1から(integerArrayの要素数-1)まで1ずつ増やす)
for(mを1から(integerArrayの要素数-n)まで1ずつ増やす)
if(integerArray[m]>integerArray[m+1])
integerArray[m]とintegerArray[m+1]の値を入れ替える
endif
endfor
endfor
integerArrayの全ての要素を先頭から順にコンマ区切りで出力する
ア 1,2,3,4
イ 1,3,2,4
ウ 3,1,4,2
エ 4,3,2,1
ChatGPTの回答③
手続きprintArrayを呼び出した場合の出力は、要素を並べ替えた後の配列integerArrayの要素を先頭から順にコンマ区切りで出力することになります。 ア 1,2,3,4
こちらはばっちりですね。説明が簡素すぎるかもしれませんが、解釈自体は完璧です。ChatGPTですが、実はコードの解釈や生成はわりと信頼できます。「こういう処理を行うPythonのコードを作って」とか、身近なところでは、Excelの関数やVBAのコードを生成してもらうこともできます。お試しあれ。
最後に計算問題も解説してもらいましょう。
質問④(令和5年公開問題、問4)
ASP利用方式と自社開発の自社センター利用方式(以下“自社方式”という)の採算性を比較する。次の条件のとき,ASP利用方式の期待利益(効果額-費用)が自社方式よりも大きくなるのは,自社方式の初期投資額が何万円を超えたときか。ここで,比較期間は5年とする。
〔条件〕
・両方式とも,システム利用による効果額は500万円/年とする。
・ASP利用方式の場合,初期費用は0円,利用料は300万円/年とする。
・自社方式の場合,初期投資額は定額法で減価償却計算を行い,5年後の残存簿価は0円とする。また,運用費は100万円/年とする。
・金利やその他の費用は考慮しないものとする。
ア 500
イ 1,000
ウ 1,500
エ 2,000
ChatGPTの回答④
ASP利用方式と自社方式の採算性を比較するために、期待利益(効果額-費用)を計算します。 ASP利用方式の期待利益は、効果額(500万円/年)から利用料(300万円/年)を引いたものです。 自社方式の期待利益は、効果額(500万円/年)から運用費(100万円/年)を引いたものです。 比較期間は5年なので、期待利益を年ごとに計算し、合計します。 ASP利用方式の期待利益:(500万円/年 - 300万円/年) × 5年 = 1,000万円 自社方式の期待利益:(500万円/年 - 100万円/年) × 5年 = 2,000万円 したがって、自社方式の期待利益がASP利用方式の期待利益を上回るためには、自社方式の初期投資額が2,000万円を超える必要があります。 エ 2,000
こちらは誤答でした(正解はイ)。質問②同様、文章が入り組んでいて日本語をうまく解釈できなかった可能性もありますが、基本的に文章で提示された計算は苦手なのかもしれません。ただ、計算の考え方はよかったと思います。両方の期待利益の差額よりも自社方式の初期投資額が大きい場合は、ASP利用方式の方が期待利益が大きくなる、という筋道です。ところが、肝心なところで計算目的が逆転しています(青マーカー部分)。その後の結論でも、なんのためにASP方式の期待利益を計算したのか忘れてしまったようです(オレンジマーカー部分)。
まとめ:ChatGPTの得手不得手
ということで、前回の記事も踏まえてChatGPT(無料版)の特徴を最後にまとめておきます。
- 固有名詞については学習していない(むしろ意図的に避けている? 著作権対策?)
- そのくせ、それっぽい説明文や商品名を生成してくるので、見抜く必要あり
- 辞書に載るような一般的な用語の解釈や説明は申し分ない
- プログラムコードの解釈や生成も得意
- 計算(特に文章題)は苦手かもしれない
- 前提条件を設けて2段階、3段階で考えさせる質問は、聞き方に工夫が必要かも
これらを心得ておけば、ChatGPTに正しく相談することも嘘をつかせて遊ぶことも自由自在です! ChatGPTがついた嘘をそのままクイズに仕立てるのもおもしろいかもしれませんね。みなさまもぜひ、自分なりにChatGPTを使ってみてください。
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