ChatGPTさんがITパスポートの公開問題に挑戦!【後編】

後編は、ChatGPTの「誤答パターン」を紹介していきます。

ChatGPTがITパスポートに合格できたのか? 気になる方は【前編】をどうぞ。
前編はこちら

なお、前編で紹介したようにGPT-4は全問正解でしたので、以下の誤答パターンはすべてGPT-3.5による生成文になります。

多かった誤答パターン

特に多かったのがこのタイプの問題です。選択肢が二重構造(二段構え)になっているような問題は(特にGPT-3.5は)苦手なようです(正解はイ)。

問27

個人情報保護法では、あらかじめ本人の同意を得ていなくても個人データの提供が許される行為を規定している。この行為に該当するものだけを、全て挙げたものはどれか。

a 事故で意識不明の人がもっていた本人の社員証を見て、搬送先の病院が本人の会社に電話してきたので、総務の担当者が本人の自宅電話番号を教えた。
b 新規加入者を勧誘したいと保険会社の従業員に頼まれたので、総務の担当者が新入社員の名前と所属部門のリストを渡した。
c 不正送金等の金融犯罪被害者に関する個人情報を、類似犯罪の防止対策を進める捜査機関からの法令に基づく要請に応じて、総務の担当者が提供した。

ア a
イ a、c
ウ b、c
エ c

生成文

個人情報保護法において、事前の同意を得ずに個人データを提供できる例外的なケースを規定しています。その中で、法令に基づく要請に応じた情報提供はその一例です。したがって、選択肢の中で該当するものは「エ」の「c」です。

誤答パターン(凡ミス)

解説している内容は合っているのに、解答すべき選択肢を間違えるという、もったいないミスです。このパターンは3回ほどありました(正解はウ)。

問65

AIにおける機械学習の学習方法に関する次の記述中の★a★~★c★に入れる字句の適切な組合せはどれか。

教師あり学習は、正解を付けた学習データを入力することによって★a★と呼ばれる手法で未知のデータを複数のクラスに分けたり、★b★と呼ばれる手法でデータの関係性を見つけたりすることができるようになる学習方法である。教師なし学習は、正解を付けない学習データを入力することによって★c★と呼ばれる手法などで次第にデータを正しくグループ分けできるようになる学習方法である。

ア ★a★:回帰、★b★:分類、★c★:クラスタリング
イ ★a★:クラスタリング、★b★:分類、★c★:回帰
ウ ★a★:分類、★b★:回帰、★c★:クラスタリング
エ ★a★:分類、★b★:クラスタリング、★c★:回帰

生成文

機械学習の学習方法に関する記述の適切な組み合わせは次の通りです。

エ ★a★:分類、★b★:クラスタリング、★c★:回帰

教師あり学習において、正解を付けた学習データを入力することで未知のデータを複数のクラスに分ける手法は「分類」であり、これが★a★です。
正解を付けた学習データを用いてデータの関係性を見つける手法は「回帰」であり、これが★b★です。
教師なし学習において、正解を付けない学習データを入力してデータを正しくグループ分けする手法は「クラスタリング」であり、これが★c★です。

したがって、正解は です。

誤答パターン(計算ミス)

計算問題でミスをしたのはこの1問のみでした。今回無効にした図表付きの問題の中に計算問題が多かったかもしれませんが、とはいえ思いのほか優秀です。ここでは誤答したのでもう一度聞きなおしているのですが、その「間違え方のパターン」が微妙に異なるので2つとも紹介します。

問20

A社では、1千万円を投資して営業支援システムを再構築することを検討している。現状の営業支援システムの運用費が5百万円/年、再構築後の営業支援システムの運用費が4百万円/年、再構築による新たな利益の増加が2百万円/年であるとき、この投資の回収期間は何年か。ここで、これら以外の効果、費用などは考慮しないものとし、計算結果は小数点以下第2位を四捨五入するものとする。

ア 2.5
イ 3.3
ウ 5.0
エ 10.0

生成文(1回目)

回収期間を計算するには、初期投資額を年間の追加利益で割ります。ここでは、再構築による新たな利益の増加を考慮していないと問題文に明記されていますが、それでも年間の運用費の差額である100万円を考慮すべきです。

再構築後の年間の運用費用は500万円から400万円に減少するので、毎年100万円のコスト削減が期待されます。したがって、投資回収期間は初期投資額である1,000万円を毎年のコスト削減額である100万円で割ります。

[ 回収期間 = 初期投資額 / 年間の追加利益 ]
[ 回収期間 = 1,000 万円 / 100 万円/年 = 10 年 ]

したがって、回収期間は10年です。
よって、答えはエ 10.0 です。

生成文(2回目)

投資の回収期間を計算するためには、毎年の追加利益が初期投資額と同じになる年数を求めます。再構築後の年間の運用費用が500万円から400万円に減少し、さらに新たな利益が2百万円増加するので、毎年の追加利益は100万円(500万円 – 400万円 + 200万円)となります。

[ 回収期間 = 初期投資額 / 年間の追加利益 ]
[ 回収期間 = 1,000 万円 / 100 万円/年 = 10 年 ]

よって、投資の回収期間は10年です。したがって、答えはエ 10.0 です。

1回目は、問題文の「新たな利益の増加が2百万円」という条件が抜け落ちていて、問題文の解釈ができていないように見えます。
その点、2回目はちゃんと問題文を解釈できています。しかし、「500万円 – 400万円 + 200万円」という単純な計算を間違えています。もったいない。ここで正しく300万円と計算できていれば、正解(イ 3.3)にたどりつけたように思います。

なお、上記の数式はmarkdownタグを整形しています。ChatGPTが生成した元テキストはこちらになります。数式としてちゃんと認識していることのご参考までに。

[ \text{回収期間} = \frac{\text{初期投資額}}{\text{年間の追加利益}} ]
[ \text{回収期間} = \frac{1,000 \text{ 万円}}{100 \text{ 万円/年}} = 10 \text{ 年} ]

まとめ

いったんここで今回の記事を締めようと思います。プログラミング問題など、かなり詳細な解説文を生成してくれたので、また別の記事で紹介させてください。

試験問題に関しては、問題文の構造が単純な場合はほぼ正解できています。有料のGPT-4にいたっては100%正解していますし、与えられた文章の理解と生成する文章の精度が、人と遜色のないレベルまできていると感じます。

これは脅威なのか、頼もしいパートナーなのか…。正直、編集者という立場では脅威かもしれません。

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