「いざ勉強を始めようとして1から読み始めたけど、知らないことばっかりで挫折しちゃった」という経験はないでしょうか?
特にこれまでまったく触れたことのない分野を学ぼうとすると、「何言ってんだかさっぱりわけがわからん状態」に陥ってしまうことは多いように思います。その結果、せっかく勉強の意欲が出たのにもかかわらず、「やっぱり私には無理だ」と、諦めてしまうこともあるかもしれません。
そこで本記事では、筆者が「さっぱりわからん」状態から抜けだすために、学生時代に編み出した、名付けて(?)「高速周回勉強法」をご紹介します。
大雑把な指針
試験に限らず、私が勉強をする場合は、以下の4点を重視するようにしています。
- 勉強したいものの概要や、土台となる基礎知識をなるべく早目に把握する
- 基礎 → 応用(細かい知識)に、だんだんとステップアップする
- ステップアップのサイクルはなるべく早く回す
- できるだけ、自分にとって面倒くさくないようにする
ここからSTEP1~5まで、私の勉強法を書いていきますが、大まかな指針は上の4つに沿ったものです。
STEP1 まずは大枠をさくっと掴む
この段階では、以下のような見通しを付けられるようになることが目標です。
- 勉強する分野では、どんなことが学べるのか(基礎の把握)
- 自分にとって得意なところ(興味のあるところ)/ネックになりそうな箇所はどこか
この作業に用いるのは、試験勉強の場合は「その試験の参考書」です。参考書であれば、試験に出る分野については一通り抑えていると思われるからです。逆に言えば、この作業をするにあたっては、試験にきちんと通用するものであれば、どんな参考書であっても支障はないと思います※。
※弊社でも、ITパスポートに限っても、さまざまなタイプの参考書を取りそろえています。その中で、自分に合うものを選んでいただくことがいちばん大事です。
さて、参考書を選んだら、まずは軽く一度、全体を読み流します。この際は、
- 単語を暗記しようとはせず、書かれている内容のうち基礎的な部分だけを中心に、ざっくりと理解する
- 「わからないな」と思う箇所の理解は保留しておき、深追いしない
ことを重視します。
読み流す時間の目安としては、1時間半~長くても3時間程度にします。試験の参考書の場合、かなり分厚いものも多いですが、「高速で周回する」ことがこの勉強法の肝になるため、必ず目標時間内に収めましょう。コツは、「時間内にすべて読み切る」のではなく、「時間内で理解できそうな部分だけを抑えながら読む」を意識することです。
またこの作業の際、筆者は、日にちをまたいで細切れに読むのではなく、なるべく一日で一気に読み通すことを心がけていました。細切れに読んでしまうと、前に読んだ内容を忘れてしまって、全体像のイメージが繋がらなくなることが多いからです……。どうしても時間がとれない場合は、「本全体を三分割して、パート1を40分で読む」などとし、「読む分量を多めにする × 短時間で読む」という要点は守るようにします。
STEP2 理解できなかった箇所を重点的に、また数回読み流す
1回読み流しが終わった後、数日~2週間程度の間で、また複数回読み流します。なるべく間隔を空けずに読むほうが、記憶が鮮明なうちに復習もできるため、効率が上がります。
このときも、1回あたりの時間を定め、1時間~長くて2時間ぐらいで読んでいきます。その際、初読では理解できていなかった箇所を重点的に読むことを意識し、理解できた箇所については都度飛ばし読みします。
もし、使用の参考書の説明だけでは理解しきれない箇所がある場合は、他の参考書にあたる、ネットで検索するなどして、調べてわかったことを必ず本に書きこむようにします。このとき、「調べた内容は本とは別に、ノートにまとめる」というタイプの方も居ますが、私の場合、
- 情報が散らばってしまって、「あのとき調べたはずなのに、どこに書いたかわからない」となりがち
- ノートを別途用意するのが面倒くさい
といった理由から、なるべくすべての学習内容は、1冊の本の中に集約するようにしていました。
STEP3 暗記ペンで重要用語を塗りつぶし、赤シートで隠しつつ読む
繰り返し読んでいくと、最初はわからなかったことについても、だんだんと意味が分かるようになってきます。だいたいの体感で構わないので、「7割方はインプットできたなあ」と思えたら、暗記ペンの出番です。覚えたい用語(試験の場合は問われる用語)を中心に塗りつぶし、その箇所を隠しながら読んでいきます。
暗記ペンを使うことで、「インプット中心(=読むだけ)の勉強」から、「インプット+アウトプット(読む+隠した用語を答える)勉強」に移行することができます。「繰り返し読んだし、いい加減読み飽きたわ」と思っていても、ただ読んでいるだけだと、実際にはかなり抜けが多いものです。アウトプットも並行させることで、漏れを無くします。
なお、隠した用語を答える際には、以下の4点に注意して進めます。
①用語を隠しすぎて、「そもそも何を問われているかわからない」という状態にならないようにする
②「あ~なんだっけ~」という用語については、考えすぎずに即答えをみる(目安20~30秒くらい)
③すべての単語が答えられるようになるまで、1ページずつ周回する
④答える際には、(ややこしい漢字を使っているとかではない限りは)筆記はせずに、口頭中心で進める
①「そもそも何を問われているかわからない」という状態にならないようにする
なんでもかんでも暗記ペンで塗りつぶしてしまった結果、
「●●は●●と●●の総称で、●●といったもののことを指します」
など、思い出そうとしても、そのきっかけがなにもない文章が産み出されることがしばしばあります。「なにがなんでも全部を覚えてやるぞ!」と、野心に燃えているときにありがちですが、だいたい後悔しますので、最低限、用語を思い出せる手がかりは残しておきましょう。
②考えこみすぎずに即答えをみる
1つの単語を思い出すのに、30秒以上もかけてしまうと、そのぶん費やす時間が長くなり、おっくうになってしまいがちです。そのため、「こんだけ考えても思い出せないならもう無理でしょ」ときっぱり見切りをつけて、さっさと答えを見てしまうことをおすすめします。
③数ページごとのまとまりで高速に周回する
暗記のフェーズでは、「全体を1周する」というよりは、「部分部分のまとまりを何週もする」ことを意識します。おおよその目安としては、たとえば1節あたりが4ページの本だとすると、だいたい2~3分で、隠した用語を答えながら読んでいきます。
もし、答えられない用語/答えられても若干自信がない箇所がある場合は、その部分だけを、即座にさらに周回します。そのようにして、全体が答えられるようになったら、次のまとまりに進みます。
筆者の経験上ではこのように、「覚えられない単語への接触機会を短期間に増やす」と、覚えやすくなることが多かったです。
④筆記はせずに、口頭中心で進める
これについては単純に、別途筆記のためのノートやペンを用意するのが面倒くさいからです。口頭ベースであれば、日常のちょっとした空き時間に、しかも場所を選ばずに学習することができます。
筆者は机に向かってガリガリ勉強することが苦手なため、暗記は基本的にベッドで寝っ転がってやっていました。
STEP4 (試験勉強の場合)数年分の過去問題集を解く、など、問題演習に進む
「STEP3で隠した単語を、本のはじめから終わりまでぶっ通しで答えていったとして、8割方は言えそうかな?」というタイミングで、過去問題集などでの演習に移行します。これも経験則になるのですが、
- 「いつまで経っても覚えられない用語」は、同じ勉強法を繰り返しても覚えられない
- 「覚えた!」と思っている用語も、聞かれ方が変わると答えられない
といったことがあるため、STEP3の時点で、100%答えられることは目指しません。
過去問を解く場合は、最低2~3年分は解いておくと、傾向がつかめると思います。この過程で、いまいち覚えられていない分野などが判明した場合は、STEP3の方式に戻って確認する、など、ある程度行きつ戻りつしながら学習します。
また演習では、「正答が正答である理由をちゃんと言えるかどうか」を意識すると、より知識の定着を図れます。たとえばITパスポートのような、選択肢問題が中心の試験の場合は、
- 誤答の選択肢について、「なぜそれが間違いなのか」を説明できるか
を考えてみてください。
STEP5 自分の穴だけをまとめた「最終暗記ノート」を作る
STEP3~4を続けていると、「9割方わかるけど、どうしてもこれだけは覚えられない」という単語が出てきたりすると思います。そこで、そんな奴らだけをまとめた「最終暗記ノート」を作って、集中的に繰り返すことで覚えきる、ということをしていました。これをすることで、自分の苦手分野がなくなります。このノートは、試験当日、最後の勉強のお供としても、心強い味方になります。
なお、ノートを作る際は、ことさらに綺麗にまとめる必要はありません。自分にとって理解できる形であれば、なんでもいいと思います。
まとめ
以上つらつらと、筆者の勉強法について解説してみました。ほかにも
- STEP2~3のタイミングで、本の目次だけを見て、何が書かれているかを人に教える体で説明する
- 索引から適当に単語を抜き出して、説明できるかを試してみる
など、「こういうこともやれるといいかな」というポイントがちょこちょこあったりしますが、基本は上のSTEP1~5の通りです。
ただこれらはあくまで、「筆者が、自分にとっていちばん楽に結果が出せると思った方法」を解説したものです。人によって、もちろん合う/合わないはあると思いますので、興味のある部分が1つでもあればそこだけ試してみる、という程度の感覚で参考にしてもらえればと思います。
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