実際はこうだよ!ITパスポートの本当の役割
では、ITパスポートは本当に「意味がない資格」なのでしょうか。
IPA(情報処理推進機構)によると、ITパスポート取得のメリットは次の3点とされています。
- 試験勉強を通じて、幅広い分野の基礎知識を身につけられる
- 組織全体のIT力・コンプライアンス力向上につながる
- 就職・進学で活用できる国家試験である
※ITパスポート試験合格のメリット(https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/merit.html)より
①実務で使わなくても試験を通じて「知っておくべき基礎知識」が身につく
確かに、ITパスポートで学ぶ知識を日常業務で頻繁に使う人は多くありません。
それもそのはずです。ITパスポートは、特定の職種や業務に特化した試験ではなく、IT・経営・会計・法律といった分野を横断的に学ぶ試験だからです。すべての内容が、今の自分の仕事にそのまま直結するとは限りません。
しかし、だからといって「役に立たない」わけではありません。
たとえば、経営戦略や組織論に関する内容は、新入社員や若手社員にとっては一見すると縁遠く、意味がないように感じるかもしれません。
それでも学習を通じて、
- 自分が働いている会社はどのような目的や戦略で動いているのか
- なぜこの部署や役割が存在しているのか
といった会社全体の構造を知ることができます。これは、目の前の作業をこなすだけでは得られない視点です。
自分の職務が組織の中でどんな役割を果たしているのかを理解できるようになると、「なぜこの仕事をやるのか」「自分に何が求められているのか」が、なんとなく見えてきます。
ITパスポートで身につくのは、即効性のあるスキルではありません。 しかし、仕事の背景を理解するための土台となる知識として、確実に役立っています。
②組織全体のコンプライアンス力を高める資格
情報セキュリティやITリスク対策は、情報システム部門だけの課題ではありません。
社員一人ひとりが共通の知識を持つことで、
- セキュリティ事故
- 情報漏えい
- 炎上リスク
といった人的ミスを減らす効果が期待できます。ITパスポートは、組織全体のITリテラシー底上げを目的とした資格でもあります。
③就職・昇進・年収アップで活用できるのか?
「結局、就職や昇進で役に立つの?」
ここが最も気になるポイントでしょう。
IPAでは、ITパスポートを採用活動や人材育成に活用している企業例を公式に紹介しています。
- NTT DATA
- 大塚商会
- Panasonic
- FUJITSU
- SCSK株式会社
- クボタシステム開発株式会社
など
- カシオ情報機器株式会社
- NECキャピタルソリューション株式会社
- 住友電工情報システム株式会社
- 東北電力株式会社
- 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
- 遠州鉄道株式会社
など
※活用事例(https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/example.html)より
では具体的にどのように活用しているのか。
カシオ情報機器株式会社に注目してみてみましょう。
新入社員全員にITパスポートの受験を義務付け
受験料は会社負担
若手社員の昇格要件資格としても位置づけ
といった形で、ITパスポートを人事制度に組み込んでいます。
このような企業では、
- ITパスポートを取得していないと昇進できない
- 結果として年収にも影響する
というケースが実際に起きています。
実は進学にも強いぞ!ITパスポート
さらに調べていて驚いたのが、高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)で「情報」が免除される点です。
2026年度から追加される「情報」科目は、ITパスポート合格者であれば免除対象となります。
また、全国多数の大学でITパスポート取得者に対して、
- 入試優遇措置
- 単位認定
といった評価が行われています。
進学を希望する学生にとっては、入学前にITと経営の基礎知識を身につけられる点も大きなメリットです。
まとめ
ITパスポートは、「業務ですぐに活かせる」「必ず年収が上がる」といった万能な資格ではありません。そのため、人によっては「意味がなかった」と感じることがあるのも事実です。
一方で、ITやビジネスの基礎を体系的に学べる点や、組織全体のITリテラシー・コンプライアンス力を高める役割、さらには新卒採用・進学・昇進の場面で評価されている実例があることも、確かに存在します。
特に、カシオ情報機器株式会社のように、昇格要件としてITパスポートを位置づけている企業では、取得がキャリアや年収に影響するケースもあります。
つまり、ITパスポートは「意味があるか・ないか」で単純に判断できる資格ではありません。どんな立場で、どんな目的で取得するのか、そしてどのような環境で活かすのかによって価値が変わる資格だと言えるでしょう。
「意味がない資格」と切り捨てる前に、自分にとってどんな場面で役立つのか。その視点で考えてみることが、ITパスポートと向き合う一番の近道なのかもしれません。



